令和6年度 京都大学情報学研究科 公開講座

宇宙開発と情報学の最前線

宇宙開発と情報学の最前線

2024年8月18日(日) 13:00〜16:40


実施報告
近年、宇宙開発への関心が高まっています。日本の宇宙探査機「はやぶさ」および「はやぶさ2」は、小惑星からサンプルを採取し、無事に地球へ帰還するという偉業を成し遂げました。さらに、宇宙旅行やアルテミス計画も大きな話題となっています。こうした背景を受け、8月18日に「宇宙開発と情報学の最前線」と題した公開講座を開催しました。
この講座では、宇宙開発に関連する最先端の研究や技術について、4名の専門家が分かりやすく解説してくださいました。講座は現地参加形式で、参加申し込みは開始早々に定員の160名に達し、当日は112名が参加しました。そのうち、約半数が学生であり、若い世代の関心の高さが伺えます。

  


講演内容・動画

開会の挨拶は、体調不良で欠席された五十嵐情報学研究科長に代わり、数理工学コース柴山准教授が挨拶文を代読されました。続いて、システム科学コース統合動的システム論分野の大塚敏之教授が「宇宙でモノをうまく操る」と題して講演されました。宇宙空間での物体の運動と制御の難しさ、特に宇宙ロボットアームの動作と反動の影響について、中高生向けのクイズを交えながら解説され、地上での常識が通用しない宇宙空間での操作の難しさと面白さが伝わったと思います。

 



次に、通信情報システムコース超高速信号処理分野の橋本昌宜教授による「宇宙線に負けないコンピュータを目指して」という講演が行われました。橋本教授は、宇宙線がコンピュータに引き起こす誤動作の発見と、それに対抗するための最新技術について詳しく説明されました。この分野の研究は、宇宙開発だけでなく、地上の安全性向上にも貢献する重要なものであり、参加者からも大きな関心を集めました。

 



続いて、生存圏研究所の山本衛教授が「電波を使って地球大気を観測する」というテーマで講演されました。山本教授は、電波を利用した環境観測技術と、大型レーダーによる地球大気観測に関する最新の研究を紹介されました。特にGPS衛星を活用した新たな観測技術は、気候変動や大気の変化を捉える革新的な手法として注目され、参加者にとっても非常に興味深い内容となりました。

 



最後に、JAXAの吉川真准教授による「『はやぶさ』『はやぶさ2』:世界初の挑戦とその結果」というゲスト講演が行われました。この講演では、小惑星探査機「はやぶさ」および「はやぶさ2」の挑戦とその成果、そして今後の展望について詳しく紹介されました。「はやぶさ」の通信トラブルやリスク管理、「はやぶさ2」における技術の進化と成功したサンプル採取について、開発者の努力と情熱が伝わる講演でした。

 



今回の公開講座は、最新の宇宙開発に関する情報を広く共有する貴重な機会となり、多くの参加者からポジティブな感想が寄せられました。特に熱心にメモを取る参加者の姿が印象的で、先端技術に対する関心の高さが伺えます。参加者からは、今後もこうした先進的な技術に関する講座の開催を期待する声が多く寄せられました。